ラグビーのスクラムは何の反則の時に組むのか?
このページでは何の反則があった時にスクラムを組むのか説明していきます。このページを見た後は、「何で、またスクラム組んでいるの?」と疑問を抱く事も少なくなるでしょう。
ラグビー競技規則には下記のように書かれています。
スクラムの目的は 、軽度の反則や競技の中断があった後に 、ボール獲得のための争奪でプレ ーを再開することである 。
”軽度の反則”というのがキーワードになりますが、軽度の反則とは、以下3つを除く反則を指します。
相手の攻撃を妨げる
相手の守りを妨げる
⇒例:オブストラクション ディフェンスが走るコースの邪魔をした時に取られてしまう反則です。
危険なプレー
⇒例:ハイタックルや相手を持ち上げるタックルです。一発退場もあり得ます。
上記の反則は、重度の反則であり、ペナルティーとなります。ペナルティーの場合、プレー再開の選択肢は次の4つです。
@ペナルティーの位置から、ボールをチョンと蹴り攻撃を始める。
(写真)
Aタッチの外にボールを蹴り出し、出た位置からラインアウト
(写真)
Bペナルティーゴールを狙う
(写真)
Cスクラムを選択する
イラスト:ワールドラグビー競技規則
重度の反則を受けた際は、スクラムを含む4つの選択肢から攻撃を再開致しますが、”軽度の反則”はスクラムからのプレー再開となります。
それでは、軽度の反則を紹介します。以下の反則を犯した場合は相手ボールスクラムからのプレー再開となります。
ノックオン
⇒ボールを前に落としてしまう反則です。ラグビーは、触ったボールを前に落としてしまってはいけません。 後ろにボールを落とした際は、レフェリーに「ノックバック」と言われプレーが続行します。
スローフォワード
⇒ボールを前に投げてしまう反則です。ラグビーは、真横 または真横よりも後ろにパスを出さなければいけません。
自陣のインゴールに持ちこまれデッドになった時
⇒インゴールとはゴールポスト後ろのエリアを言います。相手陣地のインゴールに持ち込みボールをグランディングした際は「トライ」となりますが、自陣のインゴールでボールをグランディングしてしまった際は、相手ボールのスクラム(場所:インゴールから5m)でリスタートします。
イラスト:NTTコムHP
アンプレアブルな状態
⇒アンプレアブルとは、ボールがいずれのチームもすぐにはプレーできない状態で、プレーを継続できないことを言います。例えば「モールアンプレアブル」です。
下記の画像のように、立った状態での密集を「モール」と言います。日本がボールを確保し、前に進んでいることをレフェリーが確認出来れば問題ありませんが、
相手チームの選手がボールにからみ、日本の攻撃続行不可と判断されれば「モールアンプレアブル」となり相手ボールのスクラムから再開します。
(写真)
ボールがレフェリーに直撃
⇒パスを気持ちよくパスを回していたら、レフェリーにボールが当たりディフェンス側に転がってしまった!なんて時はスクラムからプレー再開します。
選手の負傷による競技停止
⇒まれにですが、反則とは関係ない所で選手が怪我をして倒れている時があります。危険な状態とレフェリーが判断した場合は、一度試合を止めメディカルのチェックを行います。
ボールを最後に保持していたチームのボールからスクラムを再開します。
早くプレーを再開しない
⇒ペナルティーやフリーキックを得た時に、ワザと時間を使い何もプレーをしないと「ダメー。時間使いすぎ!」と反則を取られスクラムとなります。見ない反則です。
以上が、軽度の反則に当たります。意外に多いですが、必ずと言っていいほど試合で見るのは、「ノックオン」と「スローフォワード」の反則でしょう。なので、この2つの反則→スクラムで再開が分かっていれば、軽度の反則を理解する上では十分だと思います。
それでも、スクラムを組む意味が分からない
「スクラムいるー??」
と感じているファンも多いみたいですね。
「ノックオンの場所から、直ぐに始めればいいじゃん。スクラムは時間も掛かるし、
スクラム時の反則も意味わかんないし。。」
おっしゃる気持ちは分かります。確かにそうですよね。特に、試合時間が無い時のスクラムって「早く組めよー!」って感じてしまいますよね。
でも、スクラムこそがラグビーの原則なのです。
ラグビーというスポーツを行う上で、ラグビーの原則が存在します。その原則には、”独自性の特徴”というものがあります。
反則が起きた場所から、シンプルにパスを回す球技はたくさんありますが、スクラムを組む球技はないでしょう。逆にスクラムを組んで再開する球技もラグビー以外にはありませんね。
また、ラグビーの原則には、”ボールの争奪と継続”があります。
試合中はグランドのあらゆるところでボールの争奪戦が行われますね。タックル⇒密集ができボールの争奪⇒ボール確保⇒パスを回す。
この争奪戦が繰り返されます。そして、軽度の反則からの試合再開も争奪戦(スクラム)で行われます。優位性を保つためにミスをしなかったチームがボール投入を行い試合再開します。
以上、スクラムを組む理由についてでした。
ボールの争奪戦あってこそ、ラグビーを1試合で8万人の大観衆を集めるビックスポーツにした事には違いありません。
「スクラムを組んでこそラグビーだ!」という見方で、ラグビーを楽しんで頂ければと思います。